真赤―まそほ―

大掃除


なぜか李典は曹仁の家の冷蔵庫の大掃除をしていた。


きっかけはこうだ。


先日の御礼に今度は自分が料理を作る、と材料を買って曹仁の家に上がり、買ったものを冷蔵庫にしまおうとした所、中がどうにもアヤしい。
幸い腐ったものが入っているわけではなさそうだが、どうも期限切れの調味料やら使いかけのモノやら入りっぱなしのようだ。


その日はそのままにしておいたが、どうにも気になる。
次の日に持ち主の許可をとって整理することにした。


「曹仁どの、この使いかけのジャムはいつからありますか?」
「あー、去年、だったか、な?」
「じゃあ、捨てます。」


「使いかけの調味料類も全部捨てますよ。」
「う、わかった。」
「マヨネーズやケチャップもですよ?」
「それは開けたばかりだ。」
「じゃあ、この二つはとっておきます。ドレッシングは?」
「それは古い。」
「でもなんで特大サイズで買ってくるんですか。お弁当用の使いきりサイズで十分でしょう。」
「そんなのあるのか。」
「・・・・・。」


「この、冷凍室で霜焼けおこしている肉も捨てますよ。」
「そんなの入っていたのか。」
「冷凍室の中は、昔の彼女の痕跡が一杯ですよ。綺麗に小分けしてラップしてある肉とか肉とか肉とか。」
「うっ。」
「冷凍した日付も入ってますね。うわっ。これ日付が3年前ですよ。」
「そうなのか?」
「いったいいつから冷蔵庫の掃除をしていないんですか。よく食中毒になりませんね。」
「うるさいっ。お前は女房か!」
「えっ///。」
言われて思わず顔を赤くする李典。
「いや、その。」
言った言葉に気づいて同じく赤くする曹仁。


一生そうやってろ。








「なりき屋おぞい」の小桂様からいただきました!
拙宅の典さん仁さんのところへお泊りの話を読んで思いつかれた話です。
冷蔵庫の中身の話は結構あるあるネタですよね……!典さんはそういうところはきちんと整理していそうです。仁さんは言わずもがな……。
こうやってだんだん仁さんの部屋に典さんの存在が作り上げられていくんだなぁとしみじみ。

しかし、昔の彼女の痕跡を見ても平然としているのに、『女房か!』と言われて赤面する典さんにときめきました。 本当、一生そうやってろ!!www

小桂様、有難うございました!


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