無双仁典で妄想:其の壱
※樊城の戦い
曹仁「敵は二千か……こちらの兵は二万五千、
圧倒的兵数の差にも関わらず戦を仕掛けるとは何かあるのか。
しかしここで奴らを叩かねば後々の憂いとなろう。
殿の御為にも、たとえ小さき障害であろうと全力でかかる!」
李典「ちょっと待って、曹仁殿!
これは絶対何かありますよ、曹仁殿だって怪しいって思っているんでしょ?
だのに受けてたつなんてまずいって!
ここはもう少し様子見た方がいいんじゃないですか?」
曹仁「奴らが姑息な策を弄しようともそれをすべて打ち砕くのみだ。
李典、将たる者は戦場での小心は兵への士気にもかかわるぞ」
李典「別に怖いってわけじゃないですよ!
ただ、どうにも嫌な予感がするんだ。
俺の勘がこの戦はまずいって言ってるんだよ!
だってさ、相手はたった二千。それが向かってくるってことは、
よっぽどの自信がある策って事じゃあない?」
曹仁「ならばその策とは何なのか申してみよ」
李典「それが分かれば苦労しないですよ!
だけど絶対やばいって!こっちが動かなきゃあっちだって動きようがないんだから、
もうちょいじっとしていた方が……」
曹仁「李典!ただ危険だと思うだけでは軍は動かせぬぞ!
躊躇いは戦場では命取り。
出撃できぬと言うのであればそなたはそこで見ておれ!」
李典「あ、ちょ、曹仁殿!!
……あーっ!!もーっ!!!
守将の曹仁殿が出てっちゃってどうすんのさ!」
※いろいろあって仁さんの危険。
張飛「待ちくたびれたぜ!
ここでてめぇを片付けてやる!!」
曹仁「ぐっ…! はめられたか!
何という愚かなことよ、見誤ったわ!
だが負けはせぬ! 曹子孝、受けてたつ!!」
張飛「上等!!」
李典「待った待った待ったーっ!!」
がきん!!
張飛「ちぃっ! 邪魔すんな!」
李典「曹仁殿、何熱くなってるんですか! アンタ、大将でしょ!!
大将は最後まで軍を率いなきゃならないんだから、
こんなとこでやりあってる場合じゃないって!」
曹仁「ぬぅ……っ。
……そなたの言うとおりだ、李典。
この勝負、預けておくぞ!
全軍、撤退!! 速やかに撤退せよ!!」
張飛「てめぇ! 逃げんなこの野郎!!」
李典「おっと、そうはいかないって!」
張飛「ぬあっ!? なんだそいつは!!
……って、ちくしょう、逃げられた!!」
※撤退
李典「…………曹仁殿。
ね、曹仁殿。……怒ってる?」
曹仁「……何故そなたを怒らねばならぬ」
李典「だって、進軍に従わなかったり、勝手に出てきて勝負止めちゃったり。
やらかしちゃったでしょ、俺」
曹仁「確かに進軍前まではそなたの行動は咎められるべきだった。
だが、結果としてはそなたの言ったことは正しかった。
進軍するにしても、せめてもう少し相手の内情を調べておけばよかったものよ。
まったく……急いては事をし損じるだ。
此度の敗戦はそなたの言葉に耳を傾けなかった自分の短慮にある。
すまなかったな」
李典「ちょっと、謝らないでくださいよ! 曹仁殿は悪くないって!
俺がもうちょい、しっかり説得できてれば良かったんだしさ……。
あーまったくもう、俺って焦り過ぎちゃうのかな、
頭で分かっていることを、うまく言葉にできないんですよ。
だからなかなか話も聞いてもらえなくて……それでも殿は俺の力認めてくれて、
こうやって曹仁殿の副将に命じてくれたのになあ……」
曹仁「感情が先走ってしまうのだな、そなたは。
分かった。今度からは気を落ち着かせ、そなたの言葉を聞くとしよう。
二人話し合えば、見えぬことも見えてくるであろう。
何でも言ってくるがいい。たとえ要領の得ないものだったとしても自分は最後まで聞こう。
そして殿の期待にも応えねばな」
李典「……うん、曹仁殿」
了
横山版みたいに曹仁さんの猪突は、無双仁さんだとやらかさないだろうなあと思うので、そこらへんをどうするんだろうかと。
取りあえずこっから何かが始まればいいと思いますですよ。
もっと前から始まっててもいいけれど。
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